ブロマンスコメディ、フェミニズムを語る!・・・『ネイバーズ2』

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先日レビューしたセス・ローゲンの萌えコメディ「ネイバーズ」の続編です。セスローゲン&ローズバーン演じる夫婦、ザックエフロン演じるテディとデイヴフランコ演じるピートは続投。さらに新しい困った隣人としてクロエ・グレース・モレッツ演じる女子大生シェルビーとその仲間たち(男子学生クラブのフラタニティーに対し、ソロリティと呼ばれる女子学生クラブ)。面白いのは折り紙つきなんですが、それ以上に、お下劣コメディ路線を維持しながら、フェミニズムを正面から語り、ゲイのカップルをとても自然に描くというとても気持ちの良い作品に仕上がっています。セスローゲン(製作主演とともに脚本のチームにも入っています)最高だな!と叫びつつ、ファンとしてはザックがこのチームにいることがちょっと嬉しくなったりします。

 

以下ネタバレとザック中心のスクリーンショット画像と暑苦しい語りです。

 

 

 

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| 波子 | 映画感想 | 16:26 | comments(0) | - | -
みんな大好き、モラトリアム・・・『ネイバーズ』

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セス・ローゲン&ローズ・バーンの夫婦 VS ザックエフロン&デイヴフランコ率いるパリピ大学生たちの対決を描いたコメディ。ほんと気楽に見て笑ってザックの美しさを鑑賞してザックとデイヴに萌えて(※)・・・というおバカコメディなんですが、なんだかいろいろと興味深いところが出てきてしまい、書いている次第です。

 

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見よこのドイヒー具合を!

 

(※)当時、「ザックエフロンとデイヴフランコが付き合ってるぜ!」というゴシップ誌風のコラ写真ネタをぶっこんで笑いを取ってきたのが、デイヴの実の兄でありセスローゲンの親友である問題児腐男子のジェームズフランコです。

 

以下ネタバレしてます。あと「良いザック」をスクショしたやついろいろ載せてますのでぜひ(笑)。

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| 波子 | 映画感想 | 18:46 | comments(0) | - | -
カラフルに生きろよ・・・『グレイテスト・ショーマン』

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1800年代中盤のアメリカに実在した、サーカス団の興行師/実業家?のP.T.バーナム氏の伝記をもとにしたミュージカル映画です(かなりフィクション部分が多そうです)。

 

実在の人物、特にある程度古い時代の人である場合、伝記を描くには「どういう視点で描くか」が重要になってきます。偉人伝的なものから教訓的なもの、歴史考証に忠実なものから物語性を追求したものまで。

 

現在、映画界のトレンドは格差や社会の分断にどう対応するかということや、多様性(ダイバーシティ)の尊重です。

この映画、芯になっている物語は、アメリカンドリーム系の山師バーナム氏が、何度もやらかして失敗しつつ、家族や仲間の信頼を得て行くというものですが、ここに階級闘争やダイバーシティを絡めて描いている、という感じがします。

昔のサーカスというのは、芸を見せる以外に「見世物小屋」の要素があり、外見でわかるような障害者や有色人種、原住民を人々の好奇心に晒すような出し物があったことは想像がつきます。そういった出し物を、この映画では「肉親からも社会からも疎まれて隠れて生きてきた人々を、サーカスに出演させることで自分に自信をつけさせ、自活できるようにする」というダイバーシティ礼賛物語として見せるというややトリッキーなことをしています。

この点については批判もあり、「バーナム氏の良くなかった行いを隠している」「人々の好奇心に晒されることはマイノリティにとって決して良いことではない」「結局はマイノリティを金儲けの手段にしてるだけ」という記事やレビューも読みました。私も、時代背景を考えるにそんな美しい話ではなかっただろうと思いましたが、そこは音楽と演技の力、サーカス団員たちの力強く生命力に溢れた歌とダンスとともに、彼らが自信をつけてゆく姿を見ていると、すごい高揚感が湧いてくるのは確かです。 

 

アメリカの社会はゼロから立身出世するアメリカンドリームを賞賛する一方で、建国当時からのエスタブリッシュメント(いわゆるWhite,Angro-Sacson and Protestant)が高い地位を占めて成金を蔑むというところもあります。そして有色人種(特に奴隷制度の名残で黒人)は絶対に対等とは認めない。この「アメリカなりの階級社会」もこの映画の一つのポイントになっています。


 

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| 波子 | 映画感想 | 15:35 | comments(0) | - | -
闘いながら、正義の話をしよう・・・『ブラックパンサー』

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今までに観たヒーローもの映画のなかで一番の思い入れかもしれません(これまでの作品で好きなのは「ウィンターソルジャー」「X-MEN無印」「X-MENファーストクラス」「サムライミ版スパイダーマン」「バットマンビギンズ」あたりです)。

 

特にヴィランであるウンジャカタ=エリック・スティーヴンス=キルモンガーの魅力と切なさと、投げかけてくる政治思想上の問題提起が素晴らしかったです。そして彼の人生と思想とを、全力で受け止めて闘うティ・チャラ陛下もめちゃくちゃに素敵です。ブラックパンサーは美術も音楽も、主役以外のキャラクターも最高ですが、主にこの二人の関係性(と萌え)について語ろうと思います。

 

かつてチェ・ゲバラは、第三世界の苦しみを救うためには武力革命が必要で、またそれを世界に輸出しなければならないと言っていました。虐げられたるものの権利のための暴力は正当化され得るのか?正当化されないとすれば、圧政や不平等に耐え続けるしかないのか?

世界の国々の間に、また同じ国のなかでも民族や階級の間に、格差がある限り問われ続ける大きな問いを投げかけるヒーローとヴィランの物語でした。そして、思慮深いが故に悩みも深い国王と、苦悩と暴力を背負いつつかっこよくて一本気で切ないキルモンガーの物語。もちろん、アフリカの誇りの物語でもあり。

 

こう書いてきたらバレるかと思いますが、エリックとティ・チャラの関係には本当に萌えました。

ひとつには政治思想上(そこにも二人の境遇の対照性がくっきりと反映されている)の対立と議論と止揚(具体的にはティ・チャラがエリックの思想を理解し、暴力は否定しながら鎖国の過ちを認めることです)。スーツをまとったヒーローとヴィランが、「私は世界の王ではない、ワカンダの王だ」「ならば国民以外は苦しんでいても見殺しか?人類はみな同胞ではないのか」「お前のやろうとしていることは分断統治だ、お前が憎んできた統治者たちと同じ」そんな議論をしながら闘うんですよ!私好みが過ぎる!!

もうひとつには、同じ王族でありながら王位継承者とエグザイルという境遇です。

エリックのエグザイルの境遇が、ティ・チャラの父王の行為が原因であったという罪をティ・チャラが背負っていること、そしてエリックが抱える祖国への憧憬と憎悪のアンヴィヴァレンツ。

壮絶な戦いを終えてのふたりの会話はせつなくも本当に素敵でした。

 

 

以下ネタバレありです。ほぼ、ティ・チャラ陛下とキルモンガーの話です。

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| 波子 | 映画感想 | 20:59 | comments(0) | - | -
過つは人の常。・・・『キングスマン2:ゴールデンサークル』

 

キングスマン1(シークレット・サービス)の熱狂から2年あまり、期待と不安の2作目。
個人的には大満足、1作目の完璧な構成には及ばないものの、復活を予告されていたハリー・ハートのポスターに"A Far-fetched Plot(こじつけのプロット)"なんて公式が自虐コピーを付けていたわりには復活の必然性(これについては後で書きます)も良く、エグジーの成長物語という軸もぶれず、ヴィランの問題提起や現代性も良く、全く守りに入らないエログロも(私は)楽しめました。

 

以下はネタバレを含みます。

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| 波子 | 映画感想 | 11:23 | comments(0) | - | -
The Alfee 秋フェスタ 11/4 東京国際フォーラム

 

秋ツアー初参加でした、というか秋は東京のみ。
夏イベがわりとファンタジックで楽しいイメージだったのと、序盤の数曲が爽やかだったのでちょっと油断していたのですが、ずっと聴きたかった「孤独の美学」でテンションがおかしくなり、座りパートのノスタルジックな曲の選曲に感傷的になっているうちに、高見沢さんの魂がこめられたようなメッセージ性の強い本編終盤のセットリストに殴り倒されていました。自分がアルフィーの曲に出会った頃の強烈な記憶と、今の時代にリアルタイムで聴きたい曲というのが重なって、感傷と高揚感でぐちゃぐちゃでした。高見沢さんの「セトリ勘」は本当に冴えているし信頼できます。
その衝撃を引きずったままでアンコール、せっかくの「カンレキーズ・ビートルズ」の記憶があいまいなていたらくで、「クリスティーナ」で飛び跳ねてやっと我に返ってきたという調子でした。

 

以下セトリネタバレしてます。いつものようにAの会さまからセトリ頂いてます。

それから記事のラストに、いつもの腐風味小話(中右)へのリンクを載せています。大丈夫!という方のみでお願いします。

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| 波子 | 音楽 | 12:53 | comments(0) | - | -
ならばどうすれば良かったのか・・・『ハイドリヒを撃て!』

"Resistance has a codename" このコピーかっこいい。

 

第二次大戦中、ナチスドイツに占領されたチェコスロバキアに総督として派遣されたのは、ナチスで三番目の権力を持つといわれ、ユダヤ人に対する「最終解決」を立案したラインハルト・ハイドリヒだった。ハイドリヒの苛烈で巧みな占領のもと、チェコスロバキア国内のレジスタンスは勢いを失っていた。そんななか、ロンドンにあったチェコスロバキアの亡命政府はハイドリヒ暗殺作戦を立案、訓練された落下傘兵をプラハ近郊に送り込み、そのうちの二人、ジョゼフ・ガブチークとヤン・クビシュを暗殺の実行者として指名した。その作戦がAnthropoid作戦で、その顛末を描いたのがこの映画です。

 

事前に同じ作戦を描いたhhHhという小説を読んでいたので、事の顛末はほとんど知っていました。

現代社会のほとんどにおいて、ナチスの思想と行いは絶対悪として捉えられており、そのため「対ナチス」を描く二次大戦作品はほぼ「対ナチス=善」という思想的には比較的安全に描けるものが多いように思います。このAnthropoid作戦におけるガブチークとクビシュも、その悲劇的な結末も含めて、わが身を犠牲にナチスに抵抗した英雄、という描き方が容易にできるでしょう。しかしこの作戦は、レジスタンスの英雄物語というひとつの切り口では描ききれない事情を含んでいて映画でもそれが描かれています。

ひとつには、実行者たち一人ひとりがどう考えていたかはともかく、立案者たちはこれが実行者たちの死を前提にした「特攻作戦」と考えていたのではないかと思われることです。もうひとつは、作戦が成功しハイドリヒが死ねば、確実に苛烈な報復が予想され、実際にそうなったということです。

 

映画を観ての印象は観た人により様々だと思いますが、私個人的には、彼らをレジスタンスの英雄として描きながらも、彼らの人間らしい揺れや葛藤も描き、また必ずしも順調でも一枚岩でもなかった作戦の道のりや、その帰結の無残さ(作戦への協力者も無関係な市民も報復として虐殺された)も余さず描くことで、大国にはさまれた小国の戦争の悲劇や矛盾を丁寧に表現した映画だと思いました。

私が映画を観終わって最初に感じたことは「ならばどうすれば良かったのか」ということでした。報復のほうがハイドリヒが生き続けた場合の占領より酷かっただろうか。後世の私たちは連合軍の勝利を知っているけれど、それを信じてひたすらに耐えるほうが賢い選択だったのだろうか。Anthropoid作戦は本当に、チェコから離れたところにいる英国政府とチェコ亡命政府の「捨て駒作戦」だったのだろうか。

この答えの出ないやりきれなさは、同じキリアン主演の「麦の穂を揺らす風」にも似ています。キリアンは今回も「物静かなくせに梃子でも動かぬ絶望した主戦派」を演じています。

 

以下、映画の結末までネタバレしています。

 

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| 波子 | 映画感想 | 14:06 | comments(0) | - | -
議場のボーイズ・ライフ・・・『帝一の國』

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映画版「帝一の國」を観てきました。菅田くんが主演で、戦隊やライダーで見慣れた若手俳優たちがワイワイ登場する男子校学園もの、さらにキャストたちのわちゃわちゃ具合が大変に可愛らしい、ということで気楽な気分で観に行きました。しかしこれが!めちゃくちゃに面白かったのです。

 

いわゆる「萌え」まで意識された学園ものでありながら(当然ホイホイされました)、菅田くんが語っていたように大真面目な政治劇でもありコメディでもあり。私が受けた印象は「アナザーカントリーのパブリックスクールの世界を少年漫画が描いたら」でした。
極端に振り切れた設定とキャラクターでありながら、政治のリアルな汚さと青臭い高揚感の両方を描いていて、さらに「閉じられた男子の世界に生きる」という普遍的なことまで考えさせられました。

 

原作がジャンプ漫画ということで、試しに読み始めたらこれがまた止まらない面白さ。漫画版の方は、終盤でカタストロフィックに話が大きくなるという少年漫画あるあるが少し感じられ、映画版の方がまとまりは良いかな?と思いもしましたが、キャラクターの背景や個性、最後まで読めない展開で引き込まれ続けました。

 

原作と映画では少し違っていて、というか原作の前半部分をメインにして後半のクライマックスを少し改変してつなげている感じなのですが、変えてあるところ、省略してあるところも含めてすごく上手い映画化だと思いました(映画化ならつい入れたくなると予想される男女の三角関係の部分と、漫画のカタストロフィックな展開の部分をあえて切り捨てたのは大英断かと)。

 

以下ネタバレあり、原作と映画とあちこちに飛ぶ感想と考察、腐話もありますのでご注意ください。

 

 

 

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| 波子 | 映画感想 | 13:20 | comments(0) | - | -
人生には追い風が必要だ・・・『わたしは、ダニエル・ブレイク』

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ことあるごとに書いていますが、私はケン・ローチ監督が大好きです。好きな映画監督を一人と聞かれたら答えるくらい好きです。監督の明確なメッセージはもちろんですが、それを伝える「物語」とキャラクターの的確さがたまらないのです。彼が描く物語はフィクションですが、まるで現実のような静かな非情さと、胸が痛くなるような温かさのリアリティが、感情をゆさぶると同時に社会に対する新しい視線を教えてくれる気がしています。

 

社会福祉、なかでも公的扶助というものがそれを必要としている人々に届くためには、もちろんシステムや財源の確保といった政治のハード面の整備が第一ですが、それだけではなく、人間同士、市民同士のSolidarity(連帯、共感・・・この言葉は『パレードへようこそ』で使い方を知ったものです)もまた必要なのだということを感じました。不正受給をする少数の悪人を吊るし上げる以上に(それが健全な財源の確保のために必要なことは理解しますが)、必要なのに受給できていないひとがいないかどうかに目を配る必要があります。

 

それから、ケンローチ監督はいわゆる有名な役者さんをほとんど使わない(なかで、彼に選ばれた唯一に近い「名の知れた映画俳優」が「麦の穂〜」のキリアンなことはどちらもの大ファンである私の喜びです)のですが、今作の主演ダニエル・ブレイクおじさん役のデイヴ・ジョーンズさん(映画は初出演だが、舞台では有名なコメディアンとのこと)の「一瞬で彼に好感を持ってしまう」顔立ちと表情には本当に持っていかれました。そして街の人や役所の人々、ボランティアの人々など、いわゆる「モブ」の人たちの演技が抜群にうまい。同じ役所の人たちでも、冷たい人、ちょっと同情的な人、高圧的な官僚など、温度差が鮮明で引き込まれます。

 

以下ネタバレしてます。
 

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| 波子 | 映画感想 | 12:30 | comments(0) | - | -
画像データと数字の戦争・・・『アイ・インザ・スカイ』

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現代におけるリアルタイムの「戦争」(特に9.11以降の「対テロ戦争」)の姿を、概念を表現する映画というのがあって、「ハートロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティー」「アメリカン・スナイパー」なんかがそうですが、この作品も「2016年時点での対テロ戦争スタンダード」に当たるのではないかと思いました。これはフィクションで、ドラマチックかつ観客が物語に入りやすいように演出された映画ですが、戦争の不条理という不変の真理と、現代の戦争のエッセンスを詰め込んで見せているように思いました。「シンゴジラ」の「現実」部分(政治判断と軍事判断のドラマ!)、「この世界の片隅に」が描く戦争の隣の生活、ルカレ先生風味の現地工作員の良さ。

 

ものすごい緊張感と無力感、世界の不条理に打ちのめされるけれど、覚悟していたような胸糞悪さは少なかったです。「安全な場所から行われる、ドローンによる戦争の真実」というコピーから、「安全な場所からクズい戦争ハイや攻撃性を発揮する人たち」を見せられるのかなと思っていましたが、シンゴジラ同様、立場による偏りはあれどベストを尽くそうと努力している人がほとんどでした。だからと言って、「戦争というものの本質」がもたらす嘔吐感は損なわれていません。

 

以下ネタバレしてます。
 

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| 波子 | 映画感想 | 12:26 | comments(0) | - | -